1.熱力学の法則の第0、1、2、3の法則を簡潔に説明せよ。
第0法則
2個の物体がそれぞれ第三の物体と熱平衡の状態にあれば、それらの2個の物体も熱平衡の状態である。
※温度計で温度を測定できるのはこの熱平衡のおかげである。
第1法則
熱は本質上仕事と同じくエネルギーの一つであって、仕事を熱に変えることもまたその逆も可能である。
第2法則
第2種の永久運動は不可能である。
※第2種の永久運動とは自然界に何らの変化を残さないで、ある熱源の熱を継続して仕事的仕事に変える機械をいう。
第3法則(ネルストンの熱定理ともいう)
如何なる方法をもってしても物体の温度を絶対零度に下げることは不可能である。
2.内容積が1000 [L]の容器に酸素が入っており、ゲージ圧が900 [kPa]、質量が5.80[kg]であった。この状態における酸素の絶対圧力、比体積、密度はいくらか、但し、大気圧は760[mmHg] とする。
大気圧を単位換算すると、
水銀の密度は水の13.6倍
$760[mmHg]=760× 13.6 = 10.336 mH_{2}O$
$10.336 × 103kg × 9.8m/s^{2} =101.3 × 103N/m^{2} =101.3[kPa]$
A:絶対圧力は、P = $P_{g}+P_{0}$ =900+101.3 = 1001[kPa]
比体積v、密度ρは、
A: v = V/m= 1000× $10^{-3}/5.8$ = 0.172 [m3/kg]
A: ρ = m/V= 5.8/1 = 5.8 [kg/m3]
3.出力が15[kW]の電気ヒータを使って300[L]の重油を10[℃]から50[℃]に加熱するに必要な時間はいくらか。ただし、外部への放熱はなく、加えた熱量は全て重油の温度上昇に使用されるものとする。また、重油の比重を0.9、比熱を1.88[kJ/kg・K]とする。
加熱に必要な熱量は、
$Q = mc(t_{2}-t_{1})$ から計算できる。
重油の質量mは比重と体積から計算する。比重は水の密度に対する重油の密度の比であるので、
水の密度を1000[kg/$m^{3}$]とすれば重油の密度は900[kg/$m^{3}$]となり、
重油の質量は、
$m = ρV = 900 x 0.3 = 270 [kg]$ となる。
これより、必要な熱量は、
$Q = 270 x 1.88 x(50-10) = 20304 [kJ]$ である。
一方、ヒータの出力をH[kW]、時間をt[s]とすれば、Q=Htとなるため、
$t=\frac{Q}{H}=\frac{20304}{15}=1353.6$
(s)=22.6 [min]
4.圧力5.0[MPa]の気体5[kg]に、圧カー定のままで1000[kJ]の熱を加えたところ、温度は20[℃]から220[℃]になり、体積は0.080[m3]増加した。 このとき、(1)気体の定圧比熱、(2)比内部エネルギーの変化、(3)比エンタルピーの変化を求めよ。
(1) 定圧比熱Cp
$Q = Cpm(t_{2}-t_{1})$より
$Cp = \frac{Q_{12}}{m(t_{2}-t_{1})}=\frac{1000[kJ]}{5[kg](220-20)}=\frac{1000}{1000}=1.0[kJ/(kg・K)]$
(2) 比内部エネルギーの変化は
熱力学の第一法則より、
$Q_{12} = U_{2}-U_{1}+W_{12}$
となるため、比内部エネルギーの変化は次のように計算できる。
$U_{2}-U_{1}=(Q_{12}-W_{12})/m=Q_{12}-P(V_{2}-V_{1})/m$
$=1000×10^{3} × -5×10^{6} × (0.08) /5= 0.6/5 = 0.12[Mj/kg]$
(3) 比エンタルピの変化は
$h_{2}-h_{1}=(u_{1}+Pv_{2})-(u_{1}+Pv_{1})=u_{2}-u_{1}+P(v_{2}-v_{1})$
$=0.12×10^{6}[MJ/kg]+5×10^{6}×0.08/5[MJ/kg]$
$= 0.12 + 0.08 = 0.2$
すなわちこの値は質量1[kg]当たりの加熱量に等しくなる。
5.圧力5.0[MPa]、体積0.3[m3]の気体4[kg]を、体積2.0[m3]まで膨張させたところ、比内部エネルギーが220[kJ/kg]減少した。 膨張の過程がPV線図上でPV=—定の曲線に従うとき、膨張の際に外部から加えた熱量は何[kJ]か。
熱力学の第一法則より、
$Q_{12} = U_{2}-U_{1}+W_{12}$
$U_{2}-U_{1}=m(U_{2}-u_{1})=4 × (-220) × 10^{3}=-880[kJ]$
膨張過程$PV=P_{1}V_{1}$=-定であることから、$P=P_{1}V_{1}/V$を代入すると
$W_{12}=\int PdV = P_{1}V_{1} \int_1^2 \frac{dV}{V}= P_{1}V_{1}ln\frac{V_{2}}{V_{1}}$
$=5.0 × 10^{6} × 0.3 × ln2.0/0.3=1.5 × 10^{6} × 1.8=2.7[MJ]$
これらを代入すれば熱量が計算できる。
$Q_{12}=-0.88 ×10^{6}+2.7 × 106=1.82[MJ]$
